お待たせしました!
2022年12月25日
メリークリスマス!!
か
ら
の
今回は出だしにものごっつい骨太作品のご応募がありまして。
出だしから期待の高まる胸熱展開だったのですが──
その後は前回同様、皆様、かなり推敲をしてくださったのか
それとも、歴史ものというジャンルのハードルが高かったせいなのか
締切間際での応募者が多かったです
けれど、今回も沢山の方々にご応募頂きました愉怪屋杯。
完全匿名での募集ということもあり、純粋に作品だけで皆さまに勝負して頂きました。
今までもレベルが高く、審査員一同毎回唸らされてきたのですが……
今回もまた、発想力やアイディアが光る作品や、「巧い!!」と、思わず声が出てしまうような作品ばかり。
とくに、上位作品はどれも甲乙つけがたく、かなり審査に時間がかかりました。
歴史物といいますと、どうしても時代劇っぽいものをイメージしがちなのですが、まさかの展開、まさかの視点で描かれた作品があり、バラエティに富んでいたので、審査員一同、とても楽しく読まさせていただきました。
また、今回より、匿名審査員に応募してくださった方、数名にもご協力をいただき、忌憚ない評価をつけていただきました。
ご応募くださった方々。
素敵な作品を執筆してくださり、そして、ご応募してくださり、ありがとうございました。
そして、匿名審査員の方々。
なにもお礼が出来ずに申し訳ございません。
ですが、とても鋭い評価をくださり、本当に感謝いたします。
さて、審査の方式は今回も点数方式で行わさせて頂きました。
今回の募集ジャンルは「歴史物(時代もの)」なので
点数の内訳は
①表現技術・文章力
②創造力(アイディア・インパクト)
③テーマ性
④キャラクター
⑤共感度
⑥熱意
の各5点の計30点満点で採点。
先入観をなくすため、メンバー7人がそれぞれ点数や感想を提出し、最終的に集計をとるという形で行いました。
そして、匿名審査員の方には、藤白に全作品の評価点のみを提出していただきました。
結果、メンバー7人が提出した点数と匿名審査員の方々からいただいた点数の総合計によって、受賞作品を決定させて頂きました。
受賞者の方には先日、メールにてペンネームをお聞かせ頂きましたので、作品タイトル&ペンネームを発表させて頂きます!
★ 受賞発表★
【大賞👑恋慕の夏椿】
染井 吉野さん
明治時代を背景に描かれた、女性目線で語られる対象的な男女の愛憎劇。
ドロリとした時代ドラマ風で、人間関係や人の心の隠された機微など、非常に読み応えがあるだけでなく、そこにミステリー要素も加えられた、とても惹き込まれる作品です。
淡々と描かれているからこそ、ゾクリとする部分や人の闇が垣間見え、妄想が止まらなくなりました。
若干、歴史や時代との関連性は控え目ではありますが、トータルバランスがよく、うまくまとまっている秀逸な作品でした。
【準大賞🌟やまももの花がひらくとき】
彩月 志帆さん
大航海時代ものかと思いきや……まさかのオチにヤラれるアイディアや発想、インパクトが応募作品の中でもダントツに光る作品でした。
全体的にクオリティも高く、伏線の出し方、違和感の出し方も絶妙で、「あれ? まさか?」と読者が訝しく思う心理をうまくき、その違和感の正体を確信させるまでの工程がとても楽しめました。
ただ、場所ごとに章を区切ったところは、賛否が分かれるかもしれません。
少しだけ擬人化されたキャラクターに、ぎこちなさがあったところと、歴史モノというよりも、ある種、ルーツモノなのでは? といった部分で、大賞には一歩及ばず。
とはいえ、最後の最後まで大賞候補として、『けむり』と共に残った作品。
とても興味深く、物凄く面白かったです。
【入賞⚛️けむり】
今野 綾さん
関東大震災という未曾有の災害を題材に描かれた作品。
とにかく描写力が素晴らしい。
テーマである『希望』の使い方は、正直言って、応募作品の中でも一番うまかったのではないでしょうか。
読めば読むほど、深い愛情が隠れている。
嘘と本音が入り混じった元女郎の一人語りは、とてもインパクトがあるだけに、逆に、語り手以外のキャラクターの印象が薄く感じてしまったのが、惜しかったです。
【入賞⚛️黒き革命の炎は執拗に報復する】
左右田 宗さん
史実を織り交ぜながらも、まさかのゾンビもの。
歴史物にホラー要素を加えた異色作品。
少々推敲の甘さは見えるものの、とにかく、後半の臨場感溢れる交戦の描き方や、情景描写等、非常に巧みで読ませる力のある作品でした。
ただ、読者を選ぶ作品かもしれません。
【入賞⚛️官兵衛妖術行】
細井 平洲郎さん
エンターテイメント性抜群の作品。
ブードゥーからクトゥルフ、陰陽道も古事記までさかのぼるほど、盛沢山な内容。
山田風太郎あたりが好きな人向けな作品なので、好みは分かれるかもしれません。
タイトル通り、黒田官兵衛が主人公。
勢いのあるバトルファンタジーで、独特の世界観が堪能できました。
【入賞⚛️赤き蕾を 咲かせよ命 散らせよ魂】
工藤 萌音さん
ポンティアック戦争の実際の戦略を、「もしかしたら……」という視点から描かれた作品。
貴族の女性と、その婚約者の甘い日々。
婚約者を想う彼女の純粋な気持ちが、卑劣な作戦の引き金となったのかも……と思わせる内容は、少々胸が痛くなります。
説明っぽい部分をもう少し自然に組み込むことが出来ていれば、もっと全体的にスムーズに読めたかなと思います。
【入賞⚛️ある荒れ寺の一夜】
知念 尚さん
飢饉の凄惨さが、しみじみと伝わる作品。
救われない魂の悲哀。
飢えてまで崇める神様。
極限状態の人間の心理を、容赦なく描かれていました。
テーマである「希望」へのアプローチの仕方も斜に構えた感じで、逆に面白かったのですが、少々読後に物足りなさを感じました。
【入賞⚛️鎮姫の祈り】
鳥谷 綾斗さん
人柱や生贄といった因習を題材にした作品。
少々王道ではあるものの、非常に読みやすく、全体的にとても綺麗にまとまっています。
ただの歴史もので終わらず、輪廻転生モノでもあり、悲しく切ない話からくる現代へのつながりや、ハッピーエンドのオチは、幅広い層の読者から支持される作品だと思います。
【入賞⚛️夜明けの鐘】
彌砂さん
主人公が絶望から希望を見出すまでの物語。
両親との悲しい別れ、天狗との生活、その後の両親の死の真相といった綺麗な流れは、とてもわかりやすく、読みやすかったです。
ただ、主人公は農家の息子だというのに、奉公先での言葉遣いや学のありそうな雰囲気に違和感を覚えました。(どちらかというと武家の子のような……)
【入賞⚛️雷神様とお天道様】
瑞希*さん
覆面プロレスラーがタイムスリップして、干ばつに苦しむ村人たちに、雷神様と間違えられるというアイディアが、とても面白かったです。
ノリと勢いもあり、登場人物それぞれが活き活きと描かれているところが魅力的でした。
惜しかったのは、一文が長すぎたり、地の文にセリフを入れてしまっていたりと、若干、読みにくかったところです。
受賞者の皆様。
本当におめでとうございます!
受賞作品は、愉怪屋杯受賞作品アンソロジー本「希望」に収録させて頂きます。
予定としましては、2023年5月21日(日)12:00~開催予定
「第三十六回文学フリマ東京」にて販売予定です。
また、ネットやkindle等でも販売検討中でございます。
★本自体の表紙
【まかろんKさん】
【扉絵】
1:恋慕の夏椿
mimori様
2:やまももの花がひらくとき
うたうもの様
3:けむり
com様
4:黒き革命の炎は執拗に報復する
ヤマヂ様
5:官兵衛妖術行
graffage様
6:赤き蕾を 咲かせよ命 散らせよ魂
ありす様
7:ある荒れ寺の一夜
りうじ様
8:鎮姫の祈り
あがたゆう様
9:夜明けの鐘
お粥様
10:雷神様とお天道様
怜久井 絵夢様
審査員枠の扉絵担当
1:藤白圭→村上みらい。様
2:天音凛音さん→三墨様
3:管野光人さん→キリクノ様
4:清水誉さん→RIKAO様
5:千冬さん→セン様
6:椿更紗さん→MaShiRo様
7:mimoriさん→カグラジロウ様
ご協力くださる絵師の皆様。
本当にありがとうございます。
そして、今回からは匿名審査員の方が参加してくださったということもありまして……
審査員賞は廃止し
新たに『読者賞』『アイディア賞』『キャラクター賞』を設けました。
匿名審査員の方のみの総合点数が一番多かった作品に『読者賞』
『アイディア賞』『キャラクター賞』は創造力(アイディア・インパクト)、キャラクターの項目で、審査員と匿名審査員の合計点数が一番多い作品に進呈いたします。
読者賞:けむり
副賞:燻製鶏セット
アイディア賞:やまももの花がひらくとき
副賞:梅干しセット
キャラクター賞:恋慕の夏椿
この度はご応募してくださった方々
本当にありがとうございました。
また、ご協力、応援してくださった皆様、いつも感謝しております。
コロナにインフルエンザ
戦争に自然の猛威と
なかなか落ち着かない日々ではあります。
で
す
が
そろそろ明るく、楽しく、希望のある未来を目指し、前向きに進みたいところです。
愉怪屋としても、皆様に楽しんでいただける企画やイベントが出来たらなと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。